電気自動車（EV）の駆動用モーターでは小型化・軽量化と高出力化を両立するために高速回転化が不可欠になっており、モーターの回転軸を支えるベアリングの高速回転化に向けた技術開発が進んでいます。ベアリングの高速回転化に伴いグリースの潤滑不良などが懸念される中、FCVA成膜技術による水素フリーDLCコーティングであるta-C膜は高い潤滑性（低い摩擦係数）と優れた耐摩耗性から、EV駆動用モーターのベアリングの高速回転での信頼性を向上させます。
また、風が持つエネルギーを回転運動に変換する風力発電機では通常、発電量を高めるのにロータ径の拡大による受風面積（ブレードが旋回する円の面積）を増やさなくてはならず、ロータを支持する主軸受（メインベアリング）は大型化する傾向にあります。メインベアリングは地上高さ100ｍくらいの位置にあるナセルに組み込まれることから、潤滑メンテナンスなどの煩雑さを軽減する目的で、油膜切れなどに伴うベアリング軌道面の摩耗といった損傷を防止し長寿命化を図る、ベアリング転動体へのコーティングの適用が検討されてきています。
FCVA成膜技術による水素フリーDLCコーティングであるta-C膜は、その優れた耐摩耗性と高い潤滑性によってベアリングの損傷を防止し寿命を延長、煩雑なメンテナンス作業を軽減できます。
さらに、FCVA成膜技術ではセラミックス基材にもコーティング実績があるため、絶縁機能（軸受の早期寿命の原因となる電食（軸受内に電流が流れてスパーク現象によるトラブル）を防止する機能）を持たせるため使用されるセラミックス材料に耐摩耗性や潤滑性を付与することも可能です。
